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2006年07月24日

早すぎたソーシャルHDDレコーダ、ソニーの「コクーン」

ちょっとポッドキャストの話題から離れてしまいますがたまにはということで、今回は話題のビデオ共有サイト「YouTube」について書きます。
著作権のあるドラマやアニメがYouTube上にばんばんアップロードされて、ただで番組が見れるようになっていることについていろいろな議論が噴出しています。そんな中、以下のようなエントリを読みました。

昨日の「YouTubeを使ったテレビ番組の『引用』の合法性に関する一考察」には予想通り賛否両論が寄せられたが、今日は視点を変えて、「YouTubeにアップロードしたテレビ番組の一部を皆で見るのがこんなに楽しいのならば、そんな遊びを合法的にさせてくれる商品やサービスがあっても良いじゃないか」という観点からのプロダクトデザインをしてみよう。

YouTubeの楽しみのコアな部分は、自分や人が面白い/感動したなど特に印象に残った映像を、多くの人に見てもらい(共有)、それを話題に盛り上がるというのがあります。
合法的にYouTube的な楽しみ方ができる商品とてして上記のブログで提案されているのが、『実際のビデオはユーザーの持つハードディスク・レコーダーに蓄積し、クリッピング情報のみをネット上のサーバーを介して共有することにより、現行の著作権法に触れずに、自分が面白いと思ったシーンを公開したり、他の人がクリップしたシーンのみを見ることを可能にするものである。』というもの。ようするに、ビデオ自体はハードディスクレコーダー内にあり、ネットでは「どんな番組のどのシーン」というメタ情報だけが公開/共有される。そのメタファイルを他のユーザーがクリックした場合、該当する番組がそのユーザーのハードディスクレコーダーにある場合のみ、該当番組とシーンが即座に再生されるというしかけだ。これなら自分のハードディスクレコーダーにある番組を再生することになるため、何ら著作権を侵害することなく、みんなで盛り上がれる。
このブログの記事を読んで、過去にそんなハードディスクレコーダーがあったことを思い出した。今から4年前、2002年にソニーが発売したハードディスクレコーダー「コクーン」(CoCoon)だ。

ソニーのコクーンは利用者が録画した番組の履歴から、利用者の嗜好を学習して自動で予約していない番組まで録画してしまうレコーダーとして、鳴り物入りで登場した。かなりテレビCMなどの宣伝をしていたため、記憶されている方も多いと思います。
コクーンの商品説明(初代コクーンのリリース文)や広告では、学習するハードディスクレコーダーという部分が最もクローズアップされていましたが、ネットワーク接続機能があってパソコンや携帯から番組予約ができたり、ソフトのアップデートをネットワーク経由で行ったりする点が、当時としては画期的だった。ネットワークを利用した機能のひとつに、「トルミルクラブ」というコミュニティサービスがあった。これはコクーン利用者がアクセスできるWEB上のサービスで、これが合法的jなYouTubeライクな体験をユーザーに提供していた。具体的には、自分のコクーンで録画した番組のあるシーンをコクーンのリモコンでクリップし、それをメタ情報としてトルミルクラブの掲示板にコメントとともにアップロードできた。それを他のユーザーがクリックできれば、該当する番組がそのユーザーのコクーンにもあれば、そのシーンから再生が始まった。
「ドラマ●●のキムタクのこのセリフについてどう思う?」「このシーンで使われたお店の場所わかるひと?」など、トルミルクラブでは番組の様々な角度にスポットをあて、会話が盛り上がっていた。

通じ合いたい家電たち(NE ONLINE:CEATEC2003特設サイト)
 家庭の内外を意識することなく,ネットワークに接続された機器を操作する第一歩といえるのが,ソニーが2002年11月に発売したHDDレコーダ「コクーン チャンネルサーバー CSV-E77」である。会員制のWWWサイト「トルミルクラブ」と連携したサービスを提供している注8)。
具体的には,トルミルクラブの掲示板を使う。会員がテレビ番組の感想とその番組のお薦めシーンなどを掲示板に書き込むと,それを読んだ他の会員はその掲示板に埋め込まれたデータを基に手元のHDDレコーダに録画した同じ番組を視聴できる。これによって,ユーザーは掲示板を見ながら他のユーザーと体験を共有できる。ただし,同じ番組の同じ場面が手元のHDDレコーダに記録されていることが条件となる。現在は専用のWWWサイトと専用の機器との間の連携に限られているが,将来は一般の掲示板や電子メールと連携できる機器が登場するだろう。

最初にこのサービスを目にした時は、テレビのそれまでになかった楽しみ方に心底ワクワクするとともに、家電メーカーであるソニーがネットのサービスの世界に進出してくることをネット企業で働く身として怖くなったのを覚えている。

コクーン自体は多分それほどヒットしなかったのだと思う。そのため、ソニーのハードディスクレコーダー戦略は「スゴ録」のほうに集約されていき、他社の商品も録画予約やネットワーク機能が進化してコクーンはその特色を次第になくしていった。そのため、画期的なサービスだったトルミルクラブも2004年に終了した。

コクーンの生みの親であるソニーの辻野氏は、ある講演で以下のように語っている。

同氏は会場との質疑応答の中で「今後CoCoonユーザのコミュニティ内でコンテンツのやり取りができるようにしたいと思っているが、Napsterになるわけにはいかないので、権利者の配慮等を考え来年後半から少しずつ対応していきたい」と述べた

辻野氏が描くように、トルミルクラブがさらに進化し、合法的にテレビ番組を利用者間でやり取りできるようになっていたら、どのようなサービスになっていただろうか?それに加え、コクーンがHDDレコーダーとして高いシェアを占め、多くの家庭でそのサービスが利用できていたとしたら?
YouTubeの出現によってトルミルクラブが実現していたテレビの楽しみ方が多くのひとに受け入れられた今、コクーンのような家電メーカーのソーシャルHDDレコーダーは復活の目があるのだろうか。それは今となっては難しいと思う。
もっともソーシャルHDDレコーダーの実現に近いハードは、家電メーカーのHDDレコーダーではなく、すごい勢いで普及しているテレビパソコンのほうだろう。パソコンを買うと大体テレビ録画機能がついていて、各社パソコンの液晶の大きさを広げてテレビの代わりとしての普及を狙っている。
パソコンに番組のメタ情報を読み取って番組を再生するソフトをインストールしてもらい、WEB上にメタ情報を共有するスペースを作れば、合法的なYouTubeが出来上がる。HDDの単価がこのペースで下がり続ければ、1ヶ月ぐらいの番組を自動で丸々録画しておけるようになり、メタ情報から再生できる番組も増えると思う。

ソニーがコクーンで考え出された番組情報の共有は、そのコンセプトをネット企業が受け継ぐかたちで、より完成形に近づいてくのでしょうね。

はじめる!楽しむ!ポッドキャスティング!
“Podcast Now!”管理人JJ
毎日コミュニケーションズ (2006/01/12)

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投稿者 jj : 2006年07月24日 12:05

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